夫婦別姓「賛否拮抗」報道のインチキ

夫婦別姓「賛否拮抗」報道のインチキ

「同姓支持」が圧倒的 別姓導入の重要な根拠は消滅した


 

 1月28日、各紙は「選択的夫婦別姓」(以下、夫婦別姓と略)について昨年末に内閣府が行った世論調査の結果を報じたが、それについて2つの問題を指摘しておきたい。

 まず、この調査結果を報じた各紙の見出しには、「夫婦別姓、賛否並ぶ」(朝日、毎日)とか「法改正に賛否拮抗」(日経)といった言葉が踊ったが、これは読者をミスリードしかねない著しく客観性・公正性に欠けた報道と言わざるを得ない。

 そもそもこの世論調査は、夫婦別姓導入のための法改正について、次の3つの選択肢から一つを選んでもらうものであった。

①夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきで法改正の必要はない
②希望すれば結婚前の姓を名乗れるよう法改正をしても構わない
③夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきだが、婚姻によって改姓した人が結婚前の姓を通称としてどこでも使えるようにする法改正については構わない

 調査の結果は、①が35・0%(29・9)、②が36・6%(42・1)、③が25・1%(23・0)となった(括弧内は平成13年の前回調査の数字)。このうち、「夫婦は必ず同じ姓を名乗るべき」と答えた①と③の人たちは当然、夫婦同姓維持派と考えられるから、夫婦別姓導入に反対している人々は①と③を加えて60・1%になるはずだ(③は「通称」使用の容認派であって別姓賛成派ではない)。

 一方、②の「構わない」は、厳密に言えば夫婦別姓導入に100%「賛成」ではない。それを百歩譲って「賛成」と解しても、夫婦別姓導入に関する賛否は、「60・1%対36・6%」となる。つまり、「反対」は「賛成」を圧倒しており、到底「賛否拮抗」とか「賛否並ぶ」などとは言えない。

 結局、上記3紙は、③の夫婦別姓には反対だが、「通称」法制化を容認する人たちの存在を「反対」にカウントせずに、①と②のみを単純に比べて、「賛否拮抗」とか「賛否並ぶ」などと書き立てたということだ。これは、極めてアンフェアな報道と言わざるを得ない。国民を欺く「世論操作」と言われても仕方がないのではあるまいか。

 夫婦別姓の世論調査報道をめぐるマスコミのインチキ報道は実は今回が初めてではない。多くのマスコミは13年の調査の際も今回と同様の詐欺的手法を使った「前科」があり、例えば「『賛成』42%、初めて『反対』を上回る」などと書き立てた(しかし、③を「反対」にカウントすれば、「反対」は依然多数であった。( 同HP記事「新聞は平気でウソつく 夫婦別姓問題」平成14年(2002年)1月10日付参照)

 ともあれ、夫婦別姓導入については、容認派は4割にも満たず、6割もの国民が反対しているというのが現状なのだ。国民意識の現実を伝えようとしないマスコミの詐欺的手法に騙されぬよう改めて注意を呼びかけたい(なお、ここでは詳しく触れないが、実際の夫婦別姓の希望者は7・6%に過ぎない)。

 次に指摘しておきたいのは、今回の調査結果によって、夫婦別姓導入の重要な根拠が消滅したという重大な事実だ。

 どういうことかと言うと、夫婦別姓については前記の13年の調査結果が「追い風」となり、民法改正案が臨時国会に提出される動きが浮上した経緯があるが、当時、この調査結果について男女共同参画会議の専門調査会は、「(夫婦別姓導入について)国民の理解が進んだことを示す極めて重要な変化」とか「今後この趨勢がいっそう拡がるものと考えられる」との見解を示し、別姓導入の民法改正が進められることを心から期待する旨の「中間とりまとめ」を公表したのである。当時の森山法相も「世論調査で具体的な数字が出たので自信をもってやっていける。是非実現したい」と述べたことが報じられもした。要するに、「別姓支持派の国民は年々増える」との判断(憶測?)こそは、別姓推進論のいわば前提的な根拠となってきたという経緯があるわけだ。

 ところが今回の調査では、先に示した数字からも分かる通り、事実上の別姓反対派が7・2ポイント増える一方で、別姓容認派は5・5ポイントも減少したのである。つまり、「別姓支持派の国民は年々増える」という別姓推進派の前提的な論拠が崩れ去ってしまったわけである。そのことを明瞭に示した点で、今回の世論調査は極めて意義深いものであったことを最後に確認しておきたい。