何が少子化の原因か?

 中国では国の定めた一人っ子政策に国民が頭を痛ませているが、日本では国が奨励しているわけでもないのに子供が減っている。

 少子化……厚生省がまとめた報告によると、女性一人が一生のうちに産む平均子供数(「合計特殊出生率」)は、現在、1.39人とたしかに下がっている。

 で、こういう事実を目にするとすぐに「働く女性が増えているのに保育所の整備など国や企業の努力が足りないからだ」という輩がいる。

 だが、保育所を増やし、キャリアウーマンの支援をしたら本当に子供は増えるのか?

 ここにもう一つのデータがある。夫婦が一生のうちに作る子供の数、すなわち「完結出生児数」といわれるものは、2.2人で1970年代からほとんど変わっていない。

 このことは何を意味するかというと仕事を持つ主婦が子供を生まないというより、若くして結婚する女性自体が減っているということである。

 さらに、「彼女ら」は何故結婚しないのかというと、どうも仕事を続けたいからではないようだ。仕事も育児も、できるだけそういう煩わしいものから自己を遠ざけたいだけで、逆に、夫に充分な収入があり、ついでに育児もみてくれるなら、いつでも専業主婦OK、否、そのような「お気楽専業主婦」こそが彼女らの最終目標となっている。

 試みに、たとえばパソコン通信内のフォーラムやパティオなどをのぞくとこの「お気楽専業主婦」という言葉がよく出てくる。主人はまじめに働く、子供はいないか、1人だけという主婦が暇を持て余してパソコン通信し、趣味や遊びの仲間を求めて毎夜毎昼?パソコン上で井戸端会議する。ほとんど気分は学生時代のそんな彼女らが自分達を称してそう言うのである。

 あるいは、その予備軍というか、近頃の女子高校生に将来の夢を聞けば、百人が百人判を押すように、結婚をすれば仕事をやめ高収入の夫と子供2人(2人を越えることはまずない)で楽しい家庭を築くなどと茶髪の子がしゃあしゃあと言う(『BART』1997年9月22日号を参照されたし)。

 一部のフェミニストたちが言うような、子供を産むのを我慢しても仕事に生きるというような女性は、どこを探してもほとんど見当たらないのだ。

 こうしてみると、「少子化は働く女性の環境作りのための政府、企業の努力が足りないからだ」の論がいかに的外れであるかがわかる。

 一方、そうした論をふりかざす輩は夫婦別姓を進める中心でもある。が、「お気楽」をさせてくれる相手がおいそれとは見つからず、親のスネをかじりつづけてきた娘たちが、いざ結婚しても旧姓のままなら、ますます親離れ子離れできない母娘が増えるだけだろう。まったく「女性の自立」とは逆方向ではないか。

 むしろ「男らしさ」「女らしさ」が死語と化し、男も女もない幼児感覚の関係しか持てなくなっていること、あるいは、自分達の家庭を創り営むことよりも、人に見られることしか意識にないカップルしか生まれてきてないことこそ問題である。少子化は、大人になりきれない大人が増えている証なのではなかろうか。(T)

〈『明日への選択』平成10年10月号〉