子どもが求めているのは「強い保護」

「母子一体感」こそ子育ての原点⑥

子どもが求めているのは「強い保護」

田下昌明著『子育てが危ない』 (抄録)


 

 田下 よく子どもの自由とか自主性とか言いますが、子どもはそんなものを望んではいません。子どもが親に何を求めるかというと、親の「強い保護」「強い指導」ほど求めているものはないのです。

 以前、北海道の青少年指導員を務めていた頃に、万引きやシンナーで補導された子どもとその親を呼んで面談したことがあるんです。そこで子どもは決まって親に向かって「俺がやったことはなんで悪いんだ」と聞くんです。そしたら親は「お前がやったことは世間で悪いと言われていることなんだ」と。だけど子どもは「あんたの考えはどうなんだ」と聞き返す。このやり取りはどの親子も共通で実に興味深かった。

 つまり、子どもは世間がどう言っているかはあまり聞きたくない。よその親父が悪いと言っているからやめなさいと言われても、なんで俺がよその親父の言うことを聞かなきゃならないんだ、となるわけです。

 要するに、親が子どもをしっかり保護し、自信をもって指導するということが肝心なのです。

 ―― ということは、母子一体感がないと逆に自立心も独立心も育たないということになりますね。

 田下 そうです。結局、自立・独立というのは、英語で言った方が分かりやすいと思うのですけれども、free from~とか、indepedent of~と、何々からの自由であり、何々からの独立となっています。その元々居た所がないと自由も独立ない。それがない自由や独立は単なる彷徨、漂流になってしまうのです。

 では、子どもにとって元々居た所とは何かというと、これこそ母子の一体感なのです。その母子一体感のなかで、子どもが求めている「強い保護」を与える。保護というのは、裏を返せば規制です。規制のない保護はありません。例えば、危ない刃物を子どもが触っていたら、それをやめさせる。これは規制であり、保護でもあるわけです。

 そうした保護、規制が前提となって、そこからの自由、そこからの独立というものが出てくるわけで、保護も規制もない自由や独立というのはあり得ない話なのです。


 

田下昌明先生の『子育てが危ない』は、日本政策研究センター・オンラインショップでお求めになれます。主な内容は、次の通りです。ぜひご一読をお薦めします。

○これでいいのか?日本の子育て
子どもに「お伺い」する母親/親子は友達?/「他人に迷惑をかけない」でよいのか/子育ての意味も目的も見失った戦後日本/子どもは先祖からの授かりもの

○「母子一体感」こそ子育ての原点
すべては「母子一体感」から始まる/「母子一体感」は「抱き癖」から生まれる/人間形成の出発点/善悪の基準、生き甲斐はどこから生まれるのか/母子の信頼関係はこうして伸ばせ/子どもが求めているのは「強い保護」

○フェミニズムが子育てをダメにする
否定された伝統的育児法/「三歳児神話」というレッテル/子どもにとって何も良いことはない保育所/母乳は栄養だけの問題ではない/「父親も母親も同じ育児」は大間違い/父親の役割とは何か/「密室子育て」を解決するには

○子どもを産むことが感謝される社会に
学級崩壊は「動物飼育的育児」の結果/子育てをダメにする「個人がすべて」の発想/母性を守り、その地位をあげる施策を