母子の信頼関係はこうして伸ばせ

「母子一体感」こそ子育ての原点⑤

母子の信頼関係はこうして伸ばせ

田下昌明著『子育てが危ない』 (抄録)


 

 田下 ただ、母子一体感があれば、生き甲斐や善悪の判定ということについては、すべてが終わるわけではない。こういう気持ちが子どもに芽吹いてきたら、親はさらにそれを伸ばしてやるように導く必要があります。

 例えば、子どもが五歳くらいになって、「お父さんとお母さんが歳をとって働けなくなったら、その時はどうする?」と聞いてみると、ほとんどの場合、「僕に任せて」と言います。お母さんに愛された子どもは、大好きなお母さんのために役に立ちたいと思うからです。愛されたことのない子どもはこうはいきません。

 ところが、世の中には往々にして「私は年をとってもお前の世話にはならん。心配するな」と言う親が一杯います。子どものためを思ってそう言うのでしょうが、これは間違いです。大人ならば「ああ言ってはいるけれど、本心は違うんだ」と裏を読みますが、子どもは聞いたとおりにしか受け取らない。大好きな親から「世話にはならん」といわれたら、「お前は頼りにならない。いてもいなくてもいい人間だ」というメッセージとして受け取ってしまう。つまり、親に見放されたと思うのです。これでは何のために生きているのか分からなくなる。こうした心理がのちに非行の原因ともなるのです。

 ですから、お母さんは、子どもが「僕に任せて」と言ったら、「お前のようないい子がいて、お母さんは幸せよ」と言わないといけない。

 子どもの叱り方も最近は間違っていると思います。五、六歳の子どもが何か悪いことをして叱ったら、子どもは「どうして?」と聞きます。その時に、これこれこういう理由でいけないことなんだよ、と言う親がいるんですが、そう言ったらダメなんです。

 理屈で説明して「そうだったのか」と言う子どもは、最初から分かっている。悪いということが分からなくてやるわけですから、その時は「お母さんがいけないと言ったことはいけない」と言い切ってしまうことが大切です。さらに、「どうして」と聞かれたら、「今に分かる」。これで子どもは十分に納得するんです。

 叱るときに絶対に言ってはならないのは、「お父さんがこう言っていた」とか「先生に叱られます」と自分以外の誰かの責任にすることです。そんなことを言えば、お母さんに対する信頼が揺らいでしまうからです。 >>続きを読む