「母子一体感」は「抱き癖」から生まれる

「母子一体感」こそ子育ての原点②

「母子一体感」は「抱き癖」から生まれる

田下昌明著『子育てが危ない』 (抄録)


 

 ―― この「母子一体感」は、具体的にはどのように形作られていくのですか。

 田下 具体的に言いますと、次の六つの要素が必要です。

①母が赤ちゃんに微笑みかけること
②赤ちゃんが母の乳首に吸いつき、その乳を飲むこと
③赤ちゃんが母にしがみつくこと
④母の動きを赤ちゃんが追いかけようとすること
⑤母が赤ちゃんに話しかけること
⑥赤ちゃんが母の顔を見つめること

 この六つの行動を通して、母子一体感は作られていくのです。

 それぞれについて簡単に説明しますと、まず一番目の「母が赤ちゃんに微笑みかけること」というのは説明は要らないでしょう。微笑んだ顔を記憶するというのは非常に大事で、怒った顔とか悲しんだ顔が最初に印象づけられるのは良くない。

 二番目は、ちょっと回りくどいような言い方になっていますが、単に「母のお乳を飲むこと」だけではないのです。これは後で触れますが、母乳を与えるという栄養面だけでなく、赤ちゃんが乳首に吸い付くことによって起こる母子の相互関係が大事なのです。

 三番目は「しがみつく」。これによって赤ちゃんは安心感を得るのです。

 四番目の「母の動きを追いかける」というのは、これがまた重要なことでして、後で詳しく触れますが、実はこれが時間を覚えるきっかけになる行動なのです。

 それから五番目は、言葉の問題で、とにかく話しかけるということです。

 最後の六番目は、赤ちゃんが「母の顔を見つめること」です。この「見つめる」ということが非常に大事なことなのですが、実は、最初のころは赤ちゃんは目の前にあるお母さんの顔を自分の顔だと思っているんです。それが六カ月くらいになって、お母さんの顔の横に違う人の顔が出ると、自分の顔でないところに違う顔が出てくるということが分かり、自分と他との区別ができるようになる。

 その時に恐ろしいから泣くことを人見知りと言っているんです。それが大体生後六カ月頃で、そうなるとこの刷り込みの時期が終わりになります。

 いま、六つの要点を申し上げましたが、よく読んでみますと、要するに抱き癖さえつければいいということなのです。抱き癖をつければ、この六つの条件は全部満足するんです。非常に単純明快です。つまり、昔から言われていた育児法の方が理にかなっているということなのです。 >>続きを読む