中国人に埋められ行く日本社会①

中国人に埋められ行く日本社会 ①

日本が「日本人の国」でなくなってよいのか?


 

長野で見た「中国人留学生」の衝撃

不法就労・スパイ疑惑、犯罪……もう一つの「外国人問題」が登場しつつある。

 

 四月二十六日の長野では聖火リレーの沿道は、一体ここはどこの国かと思うほど、赤い中国国旗で埋め尽くされた。その中心は中国人留学生であり、数は四千とも五千とも言われている。この長野での一件以降、中国人留学生はなぜこんなに多いのかという疑問や、中国人の大量流入への危惧の声が聞かれる。

 一方、福田首相は今年一月の施政方針演説で、「留学生三十万人計画」をうちあげた。また、少子化による労働人口の減少を受けて、その穴埋めとして外国人労働者の大量移入政策も議論されている。

 さらに、外国人地方参政権を推進する民主党議連は、この五月二十日に提案をまとめたが、そのなかで、特別永住者(いわゆる「在日」)のみならず、日本と国交のある国が出身国である一般の永住者も対象にして地方選挙権を付与するとしている。これは、永住者であれば中国人にも地方選挙権を付与するという大問題のはずなのだが、マスコミはその点をほとんど報じていない。

 一体、わが国の入国管理、外国人政策はどうなっているのか。

 

◆中国人留学生は八万八千人

 まず、急増する中国人の流入について触れておこう。外国人登録者の統計によれば、中国人は平成十八年末で約五十六万(この外国人登録されるのは九十日を超えて日本に滞在する外国人で、観光や短期滞在は含まない)。これは登録されている外国人の約二六%を占める。

 この中国人滞在者・在留者は、過去十年にわたってほぼ毎年一〇%の割合で増え続けている。その結果、登録者数が二十七万二千人だった平成十年と比較すると平成十八年末でほぼ倍増している。同じ十八年末に韓国・朝鮮人の外国人登録者数は五九万八千人(ここには特別永住者、いわゆる「在日」の四十四万人が含まれる)だから、韓国・朝鮮人とほぼ近い数の中国人が日本に在留・滞在しているということになる。これは平成十八年末の数字だから、増加率から考えれば、現在では外国人登録者数としての中国人は国別では第一位になっていると思われる。

 こうした長期に滞在する中国人の急増原因の一つが、長野で問題となった中国人留学生の増加である。日本に滞在する外国人留学生は、平成十八年末で約十三万一千人で、そのうち約八万八千人が中国人(以上は法務省の入管統計による)。全留学生の約六七%が中国人ということになる。むろん、国別では最大なのだが、二位の韓国が一万七千人程度(全体の約一三%)だから、中国人留学生の多さはダントツである。

 なお、この留学生の他に、日本に留学するために語学研修をするという名目の「就学生」という資格で滞在する中国人が約二万一千人。さらに、「研修」という在留資格で、工場などで働く中国人が五万二千(数字はいずれも十八年末)。この「研修」も平成十四年と比較して倍増している。むろん、こうした数字には、蛇頭などに手引きされて不法入国したケースは含まれていない。

 こうしてみれば、九万近い中国人留学生が日本にいるのだから、長野にそのうちの四、五千人が集まったとしても、数の上では決して不思議ではないとも言えよう。

 

◆「留学」は不法就労の口実か?

 むろん、中国人留学生だからという理由だけで問題ありと主張するつもりはない。しかし、中国人留学生の場合、共産中国特有の問題があることまた事実なのである。

 その一つは、留学とは言うものの、本当に留学としての実態があるのかどうかという問題である。日本は単純労働者を受け入れていないが、不法入国や不法残留、不法就労が後を絶たない。その大部分は中国人であり、留学はそうしたいわば不法な出稼ぎの、いわば合法的な口実として使われている、ということである。

 その典型例が、平成十三年に摘発された山形県酒田市にあった酒田短大のケースであろう。この短大では、定員(二学年)の倍近い三百五十二人が在籍していたが、そのうち三百三十九人、つまりほとんどが中国人留学生だった。しかも、在籍する中国人留学生のほとんどは実際には通学せず、遠く離れた首都圏で主に風俗産業に就業していたという無法ぶりだった。この短大は平成十五年に文科省の解散命令によって消滅したが、ここでは留学の実態など皆無であり、出稼ぎのための入国手段として留学が使われたのである。

 この酒田短大のケースは極端としても、多かれ少なかれ、こうした不法就労目的の留学が多いことは事実である。例えば、平成十六年、城西国際大学(千葉県東金市)で、在籍する留学生の約一割にあたる百人余が不法残留していることが発覚し、入国管理局の立ち入り調査を受けたが、その不法残留者のほとんどは中国人だった。また、これは専門学校のケースだが、同じ平成十六年に東京都と入管が都内の専門学校での就労実態を調査している。その結果、半数を超える学校で一割以上の留学生が所在不明となり除籍されていることが判明している。

 いとも簡単に留学が日本入国の口実として使われているわけだが、そこにこそ中国特有の事情がある。留学生として入国するには、入管への申請に当たって、本人の日本語能力や親の経歴が分かる書類のほか、親の在職証明や収入証明、預金残高証明(おおむね三百万円以上の残高が必要とされる)などの提出を求めているが、その作成のためのブローカーが存在し、書類偽造が行われている(毎日新聞・平成十九年八月二十日)。

 入管は、酒田短大事件以降、かなり厳しく審査しているようだが、それでも不正入学は跡を絶たない。というのも、預金残高証明は一時的に残高を増やす「見せ金」が可能であり、親の収入証明などは簡単に偽造できる。そもそも、こうした私文書偽造が中国では犯罪に該当しない(張荊『来日外国人犯罪』)とも言われている。

 それどころか、高校や大学の卒業証明書という公文書の偽造も決して珍しいことではない。実際、昨年七月には佐賀大学大学院で五人の中国人が大学卒業証書の偽造で除籍されるという事件が発覚している。

 かつて蛇頭というブローカーによる集団密航が問題となったことがある。これは明らかに不法だが、留学を口実とすれば表面上は合法的に入国できる。入国する中国人からみれば、カネを払う先が蛇頭か偽造ブローカーかの違いに過ぎないとも言える。

 むろん、受け入れた大学側の問題も指摘されねばならない。さきに紹介した城西国際大学のケースは、約五千人の学生のうち約千人が留学生(平成十五年で千三百人)、つまり少子化で減少した入学者の穴埋めに留学生を呼び込んでいるということでもある。入管は「大学側が入学金や授業料収入を目当てに留学生を大量に受け入れた結果、学校にあまり通わずに不法就労する留学生を多く出している」と指摘している。

 たとえ留学生ではあっても、在籍すればその人数に相当する私学助成が受けられる。大学側はそれで潤うわけだが、私学助成という補助金は税金から拠出されるのだから、われわれ日本国民は税金を使って、彼らの不法就労を手助けしているようなものとも言えよう。その意味で、福田首相の「留学生三十万人」など、一体何を考えているのか、と言いたくもなる。

 

◆「学友会」の正体は?

 中国人留学生の問題はそれだけではない。今回の長野のケースで注目されるのは、中国大使館の肝いりで「聖火歓迎活動」への動員がなされ、それを実行したのが大学単位や地域単位で組織されている中国人留学生学友会という組織だったことである。

 例えば、筑波大学中国留学生学友会のサイトによれば、詳細な行動予定を示したうえで、事前に二千円を徴収し領収書を出すこと、服装はTシャツを支給すること、現地でうたう歌(義勇軍行進曲など)まで指定している。そうした指示を誰がしているのかというと、主催者として明記されている全日本中国留学生学友会という全国組織である。その指示に基づいて、筑波大学の組織は筑波地区での動員にのみ責任を負っていることも併記されている。

 とはいえ、全日本中国留学生学友会が自主的に「聖火歓迎活動」を行ったわけではない。むしろ、学友会は音頭をとっただけで、実際に計画し、指示し、さらには資金を出したのは中国大使館だとされている(週刊新潮五月十五日号)。

 むろん、留学生が出先の大使館・領事館と密接な関係にあるのはどこの国でも同じだが、中国の場合、留学生は他の国とは違う性格をもっている。それは、中国大使館との関係において、中国人留学生は情報活動の実行手段として位置づけられているという点である。

 例えば、平成十七年に在シドニー中国領事館の一等書記官だった陳用林氏がオーストラリアに保護をもとめて亡命したが、その陳氏が、在外中国大使館や領事館に置かれている教育処は、中国人留学生を操って留学生のなかの反体制派を監視させたり、攪乱させたり、中共に協力させることが任務だと証言したことはよく知られている。

 また、大紀元のウエブサイトによれば、陳氏はこうも言っている。「豪州と世界各地の大学で、中国人学生会が設立されている。彼らは民主活動家や、法輪功、その他意見を異にする者に対して校内でのあらゆる活動を監視、中国在外公館に報告する」と。つまり、中国人留学生が在外公館の指示によってスパイ活動に就いており、学友会はその中心組織だと陳氏は言うのである。

 陳氏のいう「学生会」とは、日本で言う「学友会」のことである。小誌に連載中の「日本人の知らない中国」でも、「(日本の)各大学の中国人学友会が在日中国公館と密接な関係を持っていることは公然の秘密」であり、東北大学の「学友会の経費は皆大使館から支出されていた」「その主な目的は当地でいろんな活動を行って中国人留学生を丸め込み、或いはこれらの活動を通して日本社会に党文化を輸出することにある」との証言がなされている(昨年十一月号)。また、猿翔鳴氏によれば、日本の某国立大学で中国人留学生が、大使館教育処の指示で所属する研究室から発表前の研究内容を持ち出したことが報告されているという(SAPIO・〇七年三月十四日)。

 

◆エリート留学生の犯罪

 第三番目の問題は、よく言われる留学生による犯罪である。中国人留学生の犯罪といえば、平成十四年に大分で中国人留学生を世話していた会社経営者夫婦が中国人留学生によって殺された事件や、平成十五年に福岡で起きた中国人留学生らによる一家四人殺人事件など、手口の残忍さや金銭目的で簡単に殺人に走るあまりの身勝手さに日本中が衝撃を受けた事件だっただけに記憶している方も多いだろう。ちなみに、さきに触れた酒田短大のケースでは大学解散後に残留した留学生も少なくなく、そのうちの一人は、千葉県柏市で強盗をはたらいたとして、昨年九月に逮捕されている。

 しかし、今日の留学生による犯罪の特徴は、そうした殺人や強盗、窃盗などにとどまらず、「知能犯」ともいうべきものが増えている点にある。

 その典型例が、今年四月に摘発された企業買収案件に関わった野村証券社員によるインサイダー取引事件であろう。この事件ではM&A担当者として得た極秘情報をもとにして仲間の中国人に株を売買させ、五千万円近くの不正利益を得たとして三人の中国人が逮捕されたが、そのうち二人は京都大学の、もう一人は立命館大学の元留学生だった。

 この三人は3Kの職場で不法就労する中国人とは違う、いわばエリート留学生である。実は、最近になってこうしたエリート中国人留学生が大学などを卒業した後、そのまま正規の手続きをとって日本企業に就職する例が増えている。五年前までは日本企業に就職する中国人留学生は千人から二千人程度だったが、平成十六年頃から急増し、平成十八年には就学後に日本企業に就職する中国人が六千人に達している。

 労働政策研究機構によれば、国際的な経営戦略に力を入れている大企業であるトヨタ、ホンダ、東芝などは、多くの外国人留学生を積極的に受け入れているというが、野村証券の三人はまさにそうしたケースだったのである。

 中国人問題というと、アウトローや不法就労というイメージで語られがちだが、既に、日本社会の底辺から大企業に至るまで中国人が進出しつつあるということでもある。

 

◆十一万の中国人に地方選挙権?

 こうした中国人の進出は、また中国人の日本在留資格にも変化をもたらしている。それは、「永住者」として在留する中国人の急増である。平成十八年末で約十一万七千、出身国別ではむろんトップである。しかも、毎年一万人ほどのペースで増え続けている。

 日本に在留する外国人はその在留資格によって、就業の形態や滞在期間の制限を受ける。例えば、留学生は原則就業できないが、許可を受ければ週二十八時間のアルバイトはできる。その在留外国人のなかで、日本に居住し続けることを希望する者は十年以上日本に継続して在留していること、生計を立てるに足る経済基盤があることなどいくつかの条件のもとで、永住が許可される。これが「永住者」で、活動範囲にも在留期間にも制限がなくなる。

 つまり、日本国内では法的には参政権がなく強制退去があること以外、内国人である日本国民と変わらないのが「永住者」だが、この永住を許可された中国人が十一万人いるというわけである。統計資料や分析はないようだが、この急増は留学生の増加が一つの背景となっていると推測できる。というのも、通常は日本居住は十年が原則だが、留学生として入国して、その後就職している者の場合は、就労資格に変更後五年以上の在住でよいとされているからである。

 冒頭で述べた民主党議連の提案によれば、こうした中国人永住者にも地方選挙権を与えるということになる。地方参政権問題は、「在日」問題として取り上げられていた。しかし、「在日」は毎年、約一万人ずつ減少しているのに対して、中国人は永住者の数としてはまだ少ないが、既に在留外国人の総数としては韓国・朝鮮人と肩を並べ、留学生の急増傾向をみれば、今後在日中国人が減る要素は少ない。その意味で、民主党議連の提案だと、参政権問題は「在日」問題に加えて、今後さらに大きくなるであろう「中国人問題」まで抱え込んでしまうということになる。

 これまで、日本国内で外国人問題というと、戦前から日本に住む韓国・朝鮮人、いわゆる「在日」の問題であった。しかし、数の上から見ると、いまや中国人は韓国・朝鮮人と肩を並べるまでに増加している。しかも、これまで留学生問題を通して述べてきたように、中国人問題は常に不法就労や犯罪、そして本国政府の情報活動に関わる水面下の関係などを伴い、なんともやっかいな問題である。

 いま日本には、「在日」問題以外に、もう一つの外国人問題として中国人問題が浮上しつつある。長野の中国国旗の波は、そのことを物語っているとも言えよう。(日本政策研究センター所長 岡田邦宏)

〈『明日への選択』平成20年6月号〉