「テロ国家」という事実を忘れるな

 北朝鮮の金正日総書記が死亡し、多くのマスコミが後継者・金正恩はどんな人物だとか、体制の継承が順調に行くのかどうか、を巡って報じている。

 一方、金正日が起こした事件はあまり問題にならない。マスコミは一斉に金正日が「テロ国家」の指導者であり、独裁者だったことを忘れたかのようである。

 金正日の犯罪は大きな事件を挙げただけでも、古くは1983年の韓国首脳を狙ったアウンサン廟爆破、87年の大韓航空機爆破。最近では2010年の韓国海軍の天安艦爆沈と延坪島砲撃など、いくつもある。

 大韓航空機爆破は金正日の「親筆指令」によって行われたし、その他の事件も彼が直接的もしくは最終的な命令者であることは間違いないとされている。

 むろん、日本人の拉致事件も金正日の指示だったことは数々の証言で明らかである。

 北朝鮮国内では95年から数年の間に起こった餓死事件の犠牲者は300万人以上と言われているが、その責任も金正日にあることは確かである。

 いまマスコミが論じている後継者だとか、権力の継承体制というのは、「テロ国家」の後継者であり、「人権侵害国家」の権力継承なのである。むろん、核兵器もミサイルも継承される。この点を忘れて後継問題を議論してもあまり意味がないとさえ言える。

 一方、この事態に日本はどう対応したのか。野田首相は「特別放送」の重大性に気付かず街頭演説に出かけようとし、国家公安委員長は安保会議に欠席、藤村官房長官は「哀悼の意」を表明する(後に個人的見解と修正)という間抜けぶりである。

 北朝鮮問題が主要議題となった中国訪問で、野田首相は「中国の役割は重要」と言っただけで、金正日の「功績」を称え、北朝鮮の後継体制を擁護する中国に対して、何ら注文をつけることもなかった。

 野田政権のもとで、わが国の外交も危機管理もまったく機能していない。こんな政権がつづけば日本は崩壊する他ない。

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(日本政策研究センター メール・ネットワーク12月27日付)