韓国大統領竹島上陸、中国人尖閣諸島上陸に関する見解

日本政策研究センターの見解

韓国大統領の竹島上陸と天皇陛下「謝罪要求」発言、中国反日団体の尖閣諸島への上陸事件に関する見解


 

 (一)李明博韓国大統領が八月十日に竹島に上陸したことは文字通りの暴挙である。また、李大統領は、これに抗議した野田首相の親書を突き返す非礼も重ねている。

 一方、李大統領は八月十四日に天皇陛下の韓国訪問に言及し、独立運動家遺族への「謝罪」を行うなら訪問してもよいなどと「謝罪」要求を行ったことは韓国の元首としてあるまじき非礼であり、断じて看過できない発言である。厳重に抗議するとともに撤回・謝罪を強く要求する。

 

 (二)野田内閣は、今回の李大統領の竹島上陸に対して、国際司法裁判所への竹島領有権問題の共同付託を韓国に提起し、それ以外にも通貨スワップの見直しなどにも言及している。これらの対抗措置を評価する向きもあるが、問題は現実に実施され、効果をあげるかどうかである。

 国際司法裁判所への共同付託は既に韓国が拒否しており、実際に単独付託に踏み切るかどうかが問題であり、経済問題とのリンクは実効ある措置を実施できるかどうかが問われる。逆に、もし首相や閣僚が言及しながら実現しなければ、日本の領有権主張の正当性を毀損することにもなりかねない。韓国への対抗措置の確実な実施を政府に求める。

 

 (三)一方、野田内閣は八月十五日に尖閣諸島・魚釣島への中国人の不法上陸を許し、また逮捕した中国人十四人を単なる「不法入国者」として強制送還してしまった。そうした対応は、わが国の法秩序を歪めるものであり、尖閣諸島に上陸しても事実上罰せられないという誤ったメッセージを中国側に発信することともなった。

 こうした誤った対処は、野田首相が述べた「国内法に基づいた厳正な対応」とはほど遠いものであり、野田内閣の領土・主権への防衛意識の欠落に憤りを禁じ得ない。

 

 (四)尖閣問題の焦点は実効支配の強化にある。最近、中国「公船」による領海侵犯が急増しているが、中国国家海洋局の当局者はそれは日本の実効支配の「打破」が目的だと明言している。一方、日本側は「平穏かつ安定的な維持管理」を理由に国会議員や地元石垣市長の上陸さえ拒否し、尖閣諸島は無人島状態のまま放置されている。

 日本政府がこのように実効支配強化の意志を示さず、逆に主権防衛の意志を欠落させていることが、中国側の領海侵犯や今回の反日団体の不法上陸を招いていると言える。東京都による尖閣購入計画や八月十九日の地方議員などによる魚釣島上陸も、そうした実効支配の希薄化への危機感が背景にあることは言うまでもない。

 具体的には、「島」に関しては本格的な灯台の設置や避難港の整備、さらには政府要員の常駐化などの実効支配の強化、また予想される反日団体による領海侵犯と再上陸を阻止できる態勢の確立、「公船」による領海侵入への警備態勢の整備、それらを可能ならしめる法整備など、領海に対する実効支配の強化も早急にすすめねばならない。

 

 (五)以上のような喫緊の対策と同時に、こうした一連の事件の直接的な背景が民主党の外交政策にあり、その転換をはからねばならない。

 竹島についての韓国大統領の上陸という暴挙や天皇陛下に関わる非礼発言は、菅内閣の「日韓併合百年談話」とそれに続く根拠のない文化財の引き渡し、さらに「慰安婦」問題に関する日韓基本条約の再交渉要求に対する妥協的姿勢、外国人参政権を巡る韓国民団との不透明な関係、そして何よりも竹島の現状を「不法占拠」と一貫して答弁しなかった民主党政権三代の妥協的姿勢など、民主党政権の対韓「弱腰」外交と決して無縁ではなく、今回の事件はこうした民主党政権の対韓政策が誘発したものとも言える。

 尖閣問題に関しては、二年前の尖閣事件における菅内閣の対中「腰砕け」外交があり、その後の度重なる「公船」の領海侵犯に対しても徹底した抗議をせず、領海侵犯への法整備を放置してきた民主党政権の怠慢の結果と言える。逆に、中国の海洋覇権の拡大に対して明確な抗議を表明せず、逆に媚中派経済人を中国大使に任命するという誤った対応をとったのが民主党政権であった。こうした領土・領海や主権に対する防衛意識の欠如が、中国側のさらなる不法行為を誘発したと言える。

 主権防衛を一歩前進させるためには、こうした対中・対韓外交を根本的転換が必要であり、そのためには、まずは民主党から政権を奪還し、民主党外交を総括しリセットしなければならない。

 

 (六)むろん、領土・領海や主権への防衛意志の欠落は、民主党政権に始まる問題ではなく、自民党時代を含めた戦後の日本に通底する根本的欠陥と言える。

 言うまでもなく、主権や領土は国家存立の基礎であり、それへの侵害を排除するのは国家として当然の行為である。しかし、その主権に対する侵害を排除する国家の意志そのものを否定してきたのが戦後の日本だった。

 日本国憲法前文は「日本国民は……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と、安全ばかりか生存までも「諸国民」の「公正と信義」に委ねることを表明している。中国や韓国がわが国の正当な領土・主権を不法に侵害する暴挙に出ても、それに対して領土と主権を防衛する意志を最初から持たないのが戦後の日本だった。その意味で、いま起こっている尖閣、竹島を巡る一連の問題は、いわば「国家なき日本」そのものを映し出していると言える。

 その意味で、今回の竹島・尖閣諸島を巡る一連の問題は、当面の対策を着実に実施し、対中・韓外交を根本的に見直すとともに、「国家なき日本」を克服し政治を「再構築」していく契機とすべき問題だと考える。

 

平成24年8月23日 日本政策研究センター