食料自給率40%の危ない現実

 今年は、毒ギョーザ、菓子・乳製品・ピザ等へのメラミン混入、冷凍インゲンへの殺虫剤混入……等々、中国製食品の毒物事件のほか、政府が非食用として売却した汚染米事件など、輸入食品の危険性を世に知らしめる事件が頻発した。それにより国民の国産志向が強まったが、わが国の食料自給率は先進国の中でも異常に低いわずか40%、のこり60%を海外に依存している。輸入食品に囲まれて暮らしている以上、今年起こったこれら事件は「氷山の一角」に過ぎないと言うべきで、まだまだ安心などできない。

 実際、われわれがふだん口にしている食材は、青酸カリのように口に入れてすぐ死に至るような毒物ではないにしても、ちょっと調べてみれば、「こんなものを平気で食べていたのか」と、青ざめることがある。例えば、立ち食いそば屋の山菜そば、駅前の持ち帰り寿司に入ったガリ、牛丼屋の紅ショウガ、カレー屋の福神漬け、コンビニや土産物屋で売っている漬け物……。これらは、どこから、どのようにして作られ、われわれの口に入っているかご存じだろうか? 食料問題に詳しい知人からこんな話を聞いたことがある。

 「紅ショウガとか福神漬けとか、ああいうのは皆、中国から輸入されて、港の埠頭に『野積み』にされていたものが出回っている。雨の日も炎天下の日もずっと野ざらしにされて腐らないのはゴリゴリの塩漬けにされているからで、塩抜きして漂白した後、地方の名産品とかそれらしく仕立てられて店に出てきている。われわれはそれを知らないで平気で食べているけど、野積みの現場にはカラスでさえ寄りつかないらしい」

 ショッキングな話で、その時は「え、本当?」と思ったものだが、実際に横浜埠頭の野積みの現場を見てきた山田正彦衆議院議員も、こう書いている(『輸入食品に日本は潰される』より)。

 「車を降りて、早速手近にあるポリタンクのねじり蓋を開ける。物はゴボウだ。中からビニール袋に入った何かの液体に漬け込んだ白い切ったゴボウが現れる。最近ゴボウサラダが外食でもはやりだしたが、あれの材料か、と思う。……野積みの青いポリタンクは腰ぐらいの高さだが、それが2段3段と重ねてある。次々開けてみる中味は実にさまざまである。フキ、細竹、ナメコ、にんにく、シメジ……どれも中国からである」

 他にも、山ごぼうの木の箱、きゅうり、セリ、えのき茸、なたまめ、わらび、高菜などがあり、怪しい液体に漬け込んだ状態で、開けるとものすごい悪臭がしたという。

 「……梅干し用の梅肉もある。紀州や小田原のトラックが買いにきているというが、ほんとうだろうか。わらびは福島や新潟、岐阜などと、それぞれ日本の産地のトラックがくるというのである。……もっと奥にあった塩漬けわらびは、もうここに5、6年は置いてあるという。……そんなに置いても腐らなくて、一応商品になっているというのは、どういうことなのだろうか。
ショックだった。私は汗だくのシャツを抱えて埠頭を去ったが、そのあと半日は、食品の異臭が鼻にまつわりつき、気分が悪かった」

 一方、ジャーナリストの青沼陽一郎氏は、こうした輸入野菜がどのようにして作られているのか、業界関係者のコメントを紹介している。以下はその引用(『食料植民地ニッポン』より)。

 「主に中国から運ばれてくる漬物用の野菜は、生鮮や冷凍といった類のものでも、加工済みの漬物製品でもありません。『調製野菜』として日本に入ってきます。その実態は中国で材料を添加物と一緒に塩漬けにした『塩蔵』野菜です」

 「『塩蔵』の原料を、日本国内でいったん塩を抜く作業“脱塩”をします。まあ、もとの素材に戻すわけですね。それから、最終調製液に漬け込んで、商品化します。市販のタクアンもそうですし、鮨屋のガリだとか牛丼屋の紅ショウガといったものは、ほとんどが外国産のこうした工程で出来上がるものばかりですよ」

 「漬物用のキュウリなども塩漬けにして運ばれてくるのはいい。ところが、こうしたものを埠頭の露天の下に山積みにしたまま、放置しておく。中にはカビの生えたものまであるが、これをあとで塩抜きする時に、一緒に漂白して、脱色して漬け直すのだから、それでいいんだというわけですよ」

 カラスでさえ食べない物を食べている、このなんともおかしな現実。食料輸入にはこのようなリスクがつきまとうということを今一度認識すべきだろう。