環境国家・新日本列島再生計画の提唱

環境国家・新日本列島再生計画の提唱

内需経済への戦略を打ち立てよ!


 

 世界では依然として深刻な金融危機が続いているが、その影響を受けていよいよ日本経済にも減速感が漂い始めた。日経平均株価は一時、かつてのバブル崩壊後の最安値である七千円台という水準に暴落し、傷が浅いといわれた金融機関にも一部地域金融機関を中心にじわじわと問題が広がり始めている。こうした事態を受け、政府は早速、金融機能強化法改正と二兆円規模の定額減税を中心とする追加の景気対策に動き始めたが、連日のニュースを見る限り、日本経済を覆う閉塞感は日に日に深くかつ重いというのが率直な印象だ。

 とはいえ、そんな時であればこそ、あえて日本経済の希望溢れる将来を論じてみたいというのが筆者の思いでもある。「全治三年」という麻生首相の言葉にもあるように、確かに日本経済が抱える現状の問題は容易なものではない。しかし、米国や欧州各国が今回抱え込むことになった経済の存亡に関わるともいえる問題に較べれば、その困難度は相対的にはかなり低いというのも事実であろう。とすれば、むしろこの危機を一転チャンスに変えて行く積極思考が求められてもよいと思うからだ。ある論者は次のように述べている。

 「我が国には転換能力という強いDNAもある。過去に何度も試練に直面しながら、したたかな転換能力を発揮して乗り越えてきた。秩序は無秩序を内包するが、無秩序が新たな秩序を生む。歴史がそれを証明している」(日経10・22「大機小機」)

 さて、こんな認識から、筆者は前号(『明日への選択』10月号)において、あくまでも素人考えながら、日本経済が積極的な「内需主導経済」へ転換すべきことを主張した。世界経済の減速による外需の先行き不振という現実を考えれば、日本経済の今後の可能性は内需の掘り起こしに求める他ないというのが論理の筋道でもあるからだ。今号ではそれを受け、そこで指摘した「環境国家」と「新日本列島再生計画」の具体的内容を更に明らかにしてみることとしたい。時機を失せぬ緊急の景気対策もさることながら、日本経済の閉塞を打破する決め手は何といっても日本経済の「中長期的戦略」確立にあり、いまわが国に求められるのは、かかる戦略の基礎となる「新たな方向性」の提示に他ならないと思われるからだ。

 まず「環境国家」の内容から論ずることとしよう。「環境国家」とは、政府のいう「環境立国」のことである。「クリーン・ジャパン」の追求と言い換えてもよい。脱化石燃料と省物質の社会を追求し、再生可能な資源エネルギーを積極的に活用し、水、森林、土壌など生き物を含む自然環境を持続的に保全する「クリーンで美しい国」でもある。と同時に、地域的にも経済が適度に分散されており、地方経済が元気で、地産地消をベースにした農林水産業の活力を維持できる国、というイメージもそこには含まれる。これこそが、これからの日本経済がめざすべき中長期的な、新たな方向性だということだ。

 ただ、こうした方向性の意義そのものについてはここでは論じない。むしろここで論じたい思うのは、そうした方向性がもつ日本経済における意味合いである。(日本政策研究センター代表  伊藤哲夫)

〈『明日への選択』平成20年11月号より抜粋〉

【本稿の主な内容】

・「環境」を経済再生の起動力に

・柱は再生可能エネルギー

・都市づくり、郷づくり

・求められる林業再生

(続きは、『明日への選択』平成20年11月号で読めます)