先祖返りする韓国

 最近、どこに行っても「韓国がおかしい」「どうかしている」という声を聞く。確かに韓国の近頃の言動は「ひどい」の一言に尽きる。

 韓国の主要紙は、安倍首相が宮城の航空自衛隊基地を訪れてブルーインパルスの練習機に試乗した際、その機体番号が「731」だったことを取り上げて、「生体実験をした」と中国が非難している「731部隊」を連想させると、こじつけも甚だしい記事を一斉に掲載した。中央日報には「日本への原爆投下は神の懲罰だ」というコラムまで登場した。二年前の東日本大震災の際、「日本沈没」という見出しを掲げたのも、確かこの新聞だった。

 メディアだけでなく、司法も暴走している。靖国神社の御神門に放火した犯人の中国人は犯罪人引き渡し協定を無視して釈放し、対馬のお寺から盗まれた仏像は、根拠もなく返還しない。

 韓国政府も同様だ。日韓軍事情報保護協定の締結を土壇場でキャンセルし、朴槿恵大統領は訪米してオバマ大統領に「日本は正しい歴史認識を持つべきだ」と訴えた。李明博前大統領は、昨年八月に竹島に上陸したうえに、「(天皇陛下が)訪韓したいなら心からの謝罪すべきだ」などと無礼千万な発言もした。

 まさに日本に対しては「言いたい放題」「やりたい放題」で、これまでの「反日」という次元を超えた異常な空気が韓国の政界、言論界を覆っていると言えよう。

 

 日本のマスコミには、こうした異常さを安倍政権への「右傾化」批判の一環などと解説している向きもあるが、どうにも説得力がない。そうしたなかで、中国の対日攻勢との関係、もう一つは韓国が「先祖返り」しているという視点からの分析に興味をひかれた。

 日本経済新聞の鈴置高史編集委員は『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』という著書のなかで、韓国の異様な日本叩きを中国との関係から分析している。中国が尖閣海域で日常的に領海を侵すなど日本に対して攻勢をかけ、さらには沖縄の領有権にまで言及するようになった。そうした中国に韓国がすり寄っている。朴大統領は就任後最初に中国に特使を派遣し、就任演説で「米国、中国、日本」という順序で周辺国名を呼び、「日本より中国優先」を明言していた人物を外相に指名した。韓国は中国の対日攻勢を捉え、今こそ「中国を後ろ盾にして日本に無理難題を言える絶好の機会」と捉えていると鈴置氏は言う。

 

 また、中国の「反日」を社会構造の違いから分析している岡本隆司氏(京都府立大学准教授)は鈴置氏との対談で、韓国の異常さの根っこには古くから韓国人が持っている「華夷意識」があると分析している(「日経ビジネスオンライン」)。華夷意識とは「自分が『中華』であって上にあり他人が下にある、という世界観」(岡本氏)のことである。

 岡本氏は「本音では韓国人は、日本は格下と思っている。礼・文化を知らない『夷』、つまり野蛮人だと軽んじている。そういう連中には、礼を欠こうが、多少だまそうがかまわないと思っている。/軍事的経済的に日本に劣らなくなり、しかも中国という後ろ盾ができた今、日本に対しては何を言ってもいい、してもいい、とまた考え始めた、ということでしょう」と、最近の異常さを解説している。

 韓国が、大国となった中国に接近し(これを事大主義という)、自らを先進国だと自認するようになったことを機縁として、つまり日中韓の力学関係が変化したことで、韓国が古い「華夷意識」へと「先祖返り」し、日本に対する「やりたい放題」が始まったというのである。

 こう考えれば、韓国が日本に要求する「正しい歴史認識」は、「格下」で「野蛮」な日本に対する上から目線の説教と言えるし、いわゆる歴史認識問題で事実をねじ曲げても恥じることなく、日本批判を止めないのも納得が行く。

 この「華夷意識」が根っこにあるかぎり、韓国や中国の対日認識がまっとうなものになることはないだろう。やはり、「強い日本」を取り戻し、日中韓の力関係を変えるしか、この「華夷意識」をうち破る方法はない、と思うことしきりである。(日本政策研究センター所長 岡田邦宏)

 

〈『明日への選択』平成25年7月号〉