食育・食の崩壊と家庭① 「きれる」と「孤食」

 最近、子供の「きれる」「むかつく」が問題になり、原因論議が盛んだ。

 なかでも、食生活に「きれる」原因を求める意見が多い。例えば、週刊朝日(五月一日号)には、子供の食生活に関するこんな調査結果が報告されている。

 福山市立女子短大の鈴木雅子教授らが広島県福山、尾道両市内の中学一~三年の男女約千二百人を対象に行った調査結果を、食生活のいい順A~Eの五段階に分類したところ、食生活の悪いD、Eの七~九割が、いらいらする、腹が立つ、すぐカッとする、学校に行くのがいや、などの心理状態になっている。つまり、「きれ」易いというのだ。

 「野菜、海藻類、牛乳などの摂取が少ない。一方でインスタント食品やジュース類の摂取が多く、朝食は半数がとっていなかった……際立っていたのが、最も食事のバランスが悪い女子生徒のEグループ。全員が『腹が立つ』と訴えている。また、『すぐカッとする』でも、食事のバランスのいいAグループでは一割しかいないのに、Eグループは三人に二人。男子生徒Eグループは……九割近くにのぼっている」

 では、なぜ、こうした食生活が「きれる」ことにつながるのか。

 「現代の食生活は、カロリーは十分足りているのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの不足で『脳の栄養失調』になっているのです」

 とりわけ、糖分の取りすぎは、脳の栄養循環を悪くする。鈴木教授も、「子供たちの一日摂取量は七十グラム以下が望ましいとされているのに、調べてみると平均百グラムを超えています。十四歳の男子で一日四百二十グラムという例もありました。一キロ入りの砂糖を一日で半分近く食べている」と指摘する。

 こうした子供の食生活の悪化について、子ども調査研究所の高山英男氏は、「朝食を抜いたり、帰宅してカップ麺やおやつを食べたりして塾に出かける。終わるとコンビニで駄菓子類を買い、家に戻って遅い夜食を取るというパターンです。三度の食事というメリハリのある食生活はなくなり、一日じゅう間食のような食生活になりがち」と嘆く。つまり、家族がバラバラに食事をする「孤食」に原因があるというのだ。

 もちろん、子供が「きれる」のは食事だけが原因ではないだろう。しかし、学校教育荒廃の一因が「家庭のしつけ」の不在にあることは衆知の事実であり、「孤食」と「きれる」との因果関係は、まさに「家庭の不在」を具体的に示している。

〈『明日への選択』平成10年5月号より抜粋〉