森の長城プロジェクトと心の復興

森の長城プロジェクトと心の復興

未来の子孫へ、私たちは何を残すべきか

高橋知明(一般財団法人「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」事務局、瀬田玉川神社禰宜)


 

 東日本大震災からの復興は、〝心の復興〟にしなければならない。日本人の豊かな心こそが、世界の人々に向けて、自然との共生・人間同士の協調や助け合いがいかに大切かということを発信するものだと、私は考えています。

 私が従事する「森の長城プロジェクト」は被災地の人々の大切な思い出と財産であった瓦 礫を、土と混ぜながら海岸線に盛土をし、その上に地元植生の広葉樹を混植・密植し、次の大津波に対してその勢いを和らげ、かつ多くの財産と命を海にさらわ れない壮大な森の防潮堤や一時避難場所となる命山と呼ばれるような丘をつくる計画です。その概要は、平成二十四年十月号の『明日への選択』で述べさせて戴 きましたが、その後の被災地の様子はどうか――。

 震災直後、東北の人々は、難局を乗り越えるために老若男女にかかわらず、各々ができる ことを最大限に考え、助け合い、世界の人々から称賛されるほどの行動をしました。東北だけでなく、全国で節電や様々な緊急支援などに協力したのは、災害大 国・日本に生きる国民の、有事における覚悟ある自然発生的行動だと感じました。

 しかしながら、人間は忘れ易く、欲深い動物でもあります。震災の教訓から、助け合いや 感謝の精神がより向上する多くの人々がいる一方、物資支援を受けたり、日常の生活を徐々に取り戻す中で、悪い意味で本性が出ると言いますか、あの難局を共 にした同士とは思えない行動・言動をする人も出てきたことは、残念に感じます。

 被災地では、依然として十四万人を超える人々が避難生活を送っています。そして、生活 再建が最優先課題であり、一部住宅高台移転の大規模造成が始まっていますが、その造成に数年かかり、仮設住宅暮らしの人々は高齢者も多いため、その時に なって家を建設するかどうかは判断が分かれるところです。

 多くの住民の注目が生活再建に集中する一方、土地利用計画は着々と進んでいます。半壊 した大きな建物も解体され更地となり、所々に仕分けされた瓦礫の山々が点在し、道路や海岸線工事のための用地買収が進み、湾を囲むような最大で高さ十六 メートルものコンクリート防潮堤建設事業や水門工事などが、住民の関心や希望が追い付かないところで進んでいます。

 津波の教訓を活かした街づくりとは、どのようなものか――。→続きはこちらで読めます

 

『明日への選択』平成25年12月号より抜粋

 

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