今、家族基本法が求められている

今、家族基本法が求められている

 

家族の絆や家族を作る力が衰弱する一方で、家族の原則まで崩れていけば、いずれ家族制度そのものが崩壊するのではなかろうか。


 

◇家族に関する新たな政策論議

 

 家族に関する新たな政策論議がスタートした。

 きっかけは、最高裁が昨秋、非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の半分とする民法の規定を、憲法の「法の下の平等」に違反すると判断したことだ。この違憲判決を受け、年末の国会で同規定を削除する民法改正案が成立したが、その際、家族制度への悪影響を懸念した自民党の心ある議員らが異議申し立てを行った。その結果、党内に「家族の絆を守る特命委員会」が設置されるとともに、法務省に「相続法制等に関するワーキングチーム」と称する有識者会議が設けられたのだ。

 二つの機関は連携しつつ、夫が死亡した際の遺産相続で、法律上の妻を保護する相続のあり方について、一年をめどに施策を取りまとめる予定とされる。報道によれば、夫と死別した妻が遺産分割のために住居を失わぬよう、妻の居住権を保護する方策や、介護・育児や家事への妻の貢献に応じた遺産分割を実現する方策などを検討するという。

 今回の違憲判決と民法改正は、相続の面から一夫一婦制に基づく婚姻と家族の意義を相対化させ、不倫を助長し、結果として家族制度を崩壊に導く恐れがあることを改めて指摘しておきたい。その意味で、こうした議論の場が設けられたことの意義は決して小さくない。実りある議論を期待したい。

 とはいえ、わが国の家族の危機は、何も今に始まったものではない。今回の違憲判決とは無関係に家族の崩壊は進んでいる。こうした家族をめぐる危機は、相続制度の手直し程度で解決できるものではない。二つの機関における議論が、相続制度の手直しに止まるなら、その意義は対症療法の域を出るものではない。

 その意味で重要なのは、「家族の絆を守る特命委員会」の役割である。文字通り「家族の絆を守る」ための諸方策を幅広く議論してほしい。そうした問題意識に基づく議論がなされるならば、あの最高裁のトンデモ判決も「災い転じて福となす」ことができるかもしれない。

 そこで、本稿では家族をめぐる日本の主な問題状況を整理した上で、「家族の絆を守る」ために今、何が求められているかを考えたい。

 最初に結論を述べてしまえば、日本の社会では今、「社会の自然かつ基礎的な単位」とされる普遍的な家族のあり方が大きく崩れ出している。今こそ心ある国民と政治家は、家族の形成と維持に関して、国民精神と国の施策の「拠り所」となる法整備に立ち上がるべきである。(日本政策研究センター研究部長 小坂実)

 

〈『明日への選択』平成26年3月号より抜粋〉

 

【本論文の主な内容】

・崩壊する家族

・未婚化がもたらす「家族難民」時代?

・崩れつつある家族の原則

・家族の保護は「世界標準」だ

 

(続きは、『明日への選択』平成26年3月号で読めます)