世界が歓迎する「戦争法案」?

 平和安全法制(安保法制改定)の国会審議が最終盤にさしかかっている。新聞ではデモや反対集会の記事が相変わらず報じられているが、平和安全法制に反対、反安倍政権というお題目で集まった連中が窓もない密室のなかで誰の声が大きいかを競っている観がある。そういう連中には目を世界に向けることを勧めたい。

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 あまり報道されていないのだが、この安保法制については、世界の主要国のほとんどが賛成している。

 米国はむろん、「日本の継続した努力を歓迎する」と閣議決定翌日に安保法制改定を支持。EU(二十八カ国)も、五月の日本EU首脳会議で、安倍首相が平和安全法制について説明し、EU側から「積極的平和主義に基づく日本の取組」に対する支持・賛同が表明された。

 EUを個別に見れば、ドイツのメルケル首相は「日本が国際社会の平和に積極的に貢献していこうとする姿勢を一〇〇%支持する」、イギリスのキャメロン首相は賛意を表明したうえで「特にアジア太平洋地域の安全保障について日本からのインプットを期待している」と述べている。また、フランスのオランド大統領は「日本は大切なパートナーかつ同志であり、その取組に対して連帯を表明する」との賛辞を表明した。

 アジアでも、ASEAN(十カ国)外相会議が「日本の現在の取り組みを歓迎」と議長声明(四月)に明記した他、フィリピンは日比共同宣言において「フィリピンは、平和安全法制の整備を含む『積極的平和主義』の取組を評価・支持」と明記し、アキノ大統領は衆参合同会議での演説で「(安保法制が審議されている)本国会で行われている審議に最大限の関心と強い尊敬の念をもって注目しています」と述べた。

 また、ベトナムのズン首相は首脳会談で「日本の『積極的平和主義』及び平和国家としての歩みに対する支持を表明し、日本の地域及び国際社会における、平和と安定のための貢献を高く評価し、日本が安保理常任理事国となることを支持する」と述べた。この他、マレーシアが「歓迎」、ミャンマーが「理解・支持」を表明し、中国の影響が強いとされるカンボジアが「高い評価と支持」、ラオスも「安保促進への貢献への賞賛」を表明している。その他、モンゴルのエルベグドルジ大統領は「安倍首相が打ち出した積極的平和主義を高く評価している」と述べ、スリランカの外相は「日本の積極的な取り組みへの期待」を語った。

 むろん、今や準同盟国ともいわれるオーストラリアは「歓迎」し、ニュージーランドも「支持」を表明している。

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 政府資料と外務省のホームページから、法案決定後の反応だけを拾ってみても、ざっとこんな具合である。この間、わずか三カ月。外交は味方を作るのが要諦というが、安倍外交は驚くべき成果をあげたと言える。

 しかも、これらは安倍首相などが出席した会談や会議での相手国首脳の反応に限られている。また、期間を昨年七月の集団的自衛権の限定的行使に関わる憲法解釈変更後に拡げれば、インドのモディ首相(去年九月)、カナダのベアード外相(同七月)とさらに数は増える。

 ただし、韓国はいろいろとクレームは付けている。しかし、明確に反対表明しているわけではない。中国だけが「平和発展の道を変えるのか、人々が疑問をただす理由がある」と反対意志をにじませた発言をしている。とはいえ、いずれも報道官レベルの反応である。

 つまり、世界のほとんどの国は、安倍政権がすすめている安全保障関連法案を歓迎し、支持しているのである。

 一方、国内では、民主党や共産党などの野党、国会や首相官邸の周りで気勢を挙げている勢力が「戦争法案」反対を叫び、メディアも多くが反対主張を展開している。

 反対勢力が言う「戦争法案」とは日本が「戦争をする国」になるという意味だが、その「戦争法案」に世界の国々が賛成している。つまり、世界が賛成する「戦争法案」に彼らだけが反対しているのである。何とも奇妙な光景ではないか。

 新聞は、安保法制をすすめた結果、安倍政権が孤立しているように書いているが、視野を世界に広げれば、孤立しているのは反対勢力の方なのである。(日本政策研究センター所長 岡田邦宏)

〈『明日への選択』平成27年9月号〉