国際会議で注目された「鎮守の森」の森づくり

国際会議で注目された「鎮守の森」の森づくり

持続可能な開発目標として「森の長城プロジェクト」が提案できること

高橋知明(公益財団法人瓦礫を活かす森の長城プロジェクト事務局・瀬田玉川神社禰宜)


 東日本大震災からの復興事業は、未曽有の災害が起きたことで、原形復旧を前提とした事業が主体になった。

 本来、先ず災害法制を変えるなり、特別立法を施行するなりすべきだったが、当時の政府はそれができず、東北の各沿岸自治体は原形復旧の概念のまま、権限と資金を与えられず、新たな街づくりへの意欲を削がれた結果になった。一方で、数兆円規模の莫大な復興予算を消化するため、次々と大規模工事が始まった。経験したことのない規模のため、当然多くの住民の気持ちは追い付かず、新しい街の姿を想像することすらできなかったことが無関心も招く結果になった。そうした背景もあり、コンクリート巨大防潮堤の建設が始まった今になって、住民の反発が激しさを増す地域も多々あるのが復興事業の現実である。

 「持続可能な開発社会」の実現には、自然と人間が共存共栄するための適度なバランスの構築をしなければならない。一人びとりは、それほど大きなことは出来ないのかもしれないが、できることから取り組むことがとても重要だと国連の会議に出席して感じた。既に悲鳴を上げている地球環境だが、その保全のために技術開発と同時に、もう少し自然を回復するための施策も、日本人の持つ自然観をヒントに進めていくことが必要である。

 来年は、東日本大震災から五年目を迎える。震災の記憶が風化を超えて消滅してしまった人、またあの記憶を忘れてしまいたい人もいる―。それが五年という時間だと感じている。→全文はこちら

〈『明日への選択』平成27年11月号より抜粋〉